ジョージ・E・マイニー博士(歯科医師)へのインタビュー
2007 恒志会会報 Vol.2 より
編集部注:このインタビュー記事は、会報《Mastering Food Allergies》 (食物アレルギーの克服) 1994年1・2月号(第77巻)に初めて掲載されたもの。マイニー博士はすでに現役を退き、現在は執筆活動を続けているが、PPNFの創立理事会メンバーの一人である。博士の許可を得てここに転載。
PPNF財団機関紙「HEALTH & HEALING WISDOM」2007年 春号 vol.31 N0.1 より転載
聞き手:マージョリー・ハート・ジョーンズ(登録看護師)
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マイニー博士は歯の根管治療に潜む危険性を公にするにあたって、きわめて微妙な立場に立っている。50年前には、米国歯内療法協会(根管治療の専門家たち)の創立メンバーの一人だったのだから! つまり、膨大な数の根管治療を手がけてきた。そして、根管の充填をしていない時は、週末のセミナーや臨床講義の場で全米の歯科医の 技術指導に当たってきた。
約2年前、引退したばかりの博士は、ウェスト ン・A・プライス博士(歯科医師)の研究を詳細に述べた1174ページの本を読破しようと決心した。 驚愕と衝撃に襲われた。そこに収められていたのは、充填が施された根管に潜む潜在的感染から生じる全身性疾患についての、信頼に足る記録であった。博士はその後、「Root Canal Cover-Up,」を 執筆し、現在は、一般の人々に警鐘を鳴らすために、ラジオやテレビに出演したり、さまざまな集まりに顔を出したりしている。
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MJ:根管治療にはどんな問題点があるのか説明してください。
GM:最初にお断わりしておきますが、わたしの本は、ウェストン・プライス博士の25年にわたる綿密で非の打ちどころのない研究を土台にしたものです。博士は60名のチームを率いて研究を進め、 その研究結果は − これまで公表を禁じられてきましたが − 史上最高の医学的発見としてランクされるべきものとなりました。重い病気を引き起こす発見困難な病原体を長期間にわたって探し求めるというような、よくある医学研究の話ではありません。何百万もの細菌がいかにして歯の構造内部に潜入し、単独の病原体に起因するものとし ては最大数の病気をもたらす結果となるかについて、述べたものなのです。
MJ:どのような病気でしょう。いくつか例を挙げていただけますか。
GM:はい、慢性退行性疾患のうち、かなりの割合が、根管充填の施された歯から生じているといえましょう。
もっとも多いのが心臓・循環器系の病気で、プライス博士はそれらを引き起こす病原体を16種類も発見しました。次によく見 受けられるのが、関節炎やリューマチといった関節の病気です。3番目は − と いっても、2番目とほぼ同数ですが − 脳と神経系の病気です。4番目以下も同じで、名前を挙げることのできるどのような病気も、根管充填の施された歯から生じる可能性があります(そして、一部の症例では、現実にそうなっています)。
研究そのものについてお話ししておきましょう。 プライス博士は1900年に研究に着手しました。 研究は1925年まで続けられ、1923年にはその成果を2巻本にして出版しました。1915年、全国歯科医師会(数年後に米国歯科医師会に改称)が博士の業績に大きな感銘を受け、プライス博士を初代リサーチ・ディレクターに任命しました。博士の諮問委員会はまるで当時の医学会と歯科学会 の紳士録のようです。細菌学、病理学、リューマ チ病学、外科、化学、心臓病学の分野を代表する錚々たる人材がそろっていたのです。
著書のなかで、プライス博士はこう述べていま す。「連鎖球菌による病巣感染が全身に及ぼす影響の深刻さにいち早く気づいていた点で、おそら く、フランク・ビリングズ医学博士がアメリカの他のいかなる内科医よりも大きな賞賛を受けるべきでしょう」
ここでじつに不幸なのは、病巣感染学説を信じない、もしくは、理解しきれない少数の独裁的な医師グループによって、約70年前にきわめて貴重な情報のもみ消しが図られ、完全に隠蔽されてしまったということです。
MJ:“病巣感染”学説とはどのようなものですか。
GM:原感染病巣 − 歯、歯根、炎症を起こした歯周組織、扁桃など − に潜む細菌が、心臓、眼球、肺、腎臓、その他の臓器、腺、組織へ移動して、同じ感染を伴う新たな二次疾患を作りだすという説です。単なる学説ではなくなり、何度も立証され、論証されてきました。現在では、100パー セント受け入れられています。
しかし、第一次大戦中と1920年代の初めのころは、革命的な考え方だったのです!
今日、患者も医師も“洗脳”されて、今の世の中には抗生物質があるから感染症は昔ほど深刻な問題ではなくなった、と考えるようになっています。まあ、イエスともいえるし、ノーともいえるでしょう。根管充填が施された歯は、もはや生きている歯ではないため、内部への血液の供給が断たれています。従って、抗生物質が血液内を循環しても、歯の内部にまでは到達しえないため、そこに生息する細菌を死滅させることができないのです。
MJ:根管充填の施された歯のすべてに、細菌と他の感染病原体が、もしくは、そのどちらかが潜んでいると、先生はお考えなのでしょうか。
GM:そうです。
どのような充填剤もしくは技術を使おうとも − この点は現代でも変わっていま せんが − 充填された部分はたぶん、顕微鏡的な比率でしょうがわずかに縮みます。
また、ここからが大切なことですが、堅固に見える歯の多くを占める象牙質と呼ばれる部分は、実際には、何マイルにも及ぶ細管によって構成されています。迷路のような細管内に潜む微生物が歯の内部を移勤して、そこに棲みつきます。充填が施された根管は新たな繁殖地を作る場所として好まれているようです。
この事実を理解しにくくしている要因のひとつとして、次の事実が挙げられます − 口腔内に常住する比較的無害な大型の細菌が変化して、新しい環境に適応するのです。窮屈な棲み家に合うようにサイズを縮小し、さらに、ごくわずかな食物だけで生存することを(そして、繁栄することを!) 学びます。酸素を必要とする細菌が突然変異を起こして、酸素なしでも生きていけるようになります。こうした適応過程のなかで、以前は友好的だった“正常な”微生物が病原性(病気を引き起こす能力)と毒性(より強力なもの)持つようになり、 はるかに強い毒素を放出するようになるのです。
今日の細菌学者たちは、プライス博士の研究チー ムの細菌学者による発見を正式に認めています。 どちらの学者たちも、根管から、同じ種類の連鎖球菌、ブドウ球菌、スピロヘータを検出しています。
MJ:根管治療を受けたことのある人は、誰もがそれによって病気になるわけですか。
GM:いいえ。あらゆる根管充填にはすきまからの漏れが見受けられ、細菌がその構造に侵入することを、我々は現在、確信していますが、そこには個人の免疫系の強さという変動要素が介在しま す。健康な人間であれば、歯から抜け出して身体の他の場所へ移動した細菌を抑制することができます。なぜそういう現象が起きるかというと、たぶん、免疫系のリンパ球(白血球の一種)や病気と戦う因子がそれ以外の慢性的な病気によって弱められていると言うことが無く安定しているからでしょう。言い換えれば、健康な人々は、体内の他の組織が新たな病巣に支配されるのを食い止めることができるのです。
しかし、歳月がたつにつれて、根管充填された歯を持つ人々の大部分が、 以前にはなかったなんらかの全身症状を見せはじめるようです。
MJ:硬くて頑丈そうな歯の構造の奥深くに細菌が入りこむということが、どうも理解しにくいのですが。
GM:そうですね。医師や歯科医も理解しがたいと思っています。歯の構造を思い浮かべてもらう必要があります − 象牙質を構成している顕微鏡でしか見られないほど細い管のすべてを思い描いてみて下さい。健康な歯の場合は、この細管のなかを液体が循環して、歯の内部へ栄養物質を運びます。わかりやすく説明するなら、単根歯(前歯) の細管を地面の上で延ばすと、3マイルもの長さになるのです!
根管充填が施されれば、もはや歯のなかを液体が循環することはありませんが、迷路のような細管は残ったままです。だからそこに生息する嫌気性細菌は、抗生物質からきわめて安全に守られているわけです。
しかし周囲の組織へ移勤し、そこから血流に乗って体内のほかの場所へヒッチハイクすることができます。細菌が新たに棲みつく先としては、あらゆる臓器、腺、組織が考えられ、その新たな繁殖地が、再発性もしくは慢性の感染症に悩まされている人体のなかで次の二次疾患としての感染を引起すのです。
感染に対する患者の抵抗力を高めて、免疫系を強くしようという意図のもとに行われる“強化策” は、どれも一時しのぎにすぎません。感染源 − 根管充填が施された歯 − を除去しない限り、多くの患者は健康になれないのです。
MJ:先生のお話を疑うわけではありませんが、 関節炎その他の全身症状や疾患がじつは歯から − それも、たった1本の歯から − 生じるという ことを、プライス博士がいかにして確信するに至ったかについて、もうすこし説明していただけませんか。
GM:いいですよ。研究の多くは、研究者が何らかの現象に好奇心を持つことから始まります。次に、科学的な配慮のもとに解答を見つけだし、そ れから、何度も実験を繰り返してそれを立証していくのです。プライス博士が手がけた最初の症例はくわしく記録されています。博士はひどい関節炎に苦しんでいた女性から、感染を起こしている歯を抜きました。抜歯がすむとすぐに、その歯を健康なウサギの皮下に埋めこみました。 48時間以内に、ウサギは関節炎になって四肢を勤かせなくなりました!
さらに、抜歯後、患者さんの関節炎は劇的によくなりました。この事実が患者さんの場合も、ウサギの場合も、感染した歯が関節炎の元凶であったことを明確に示しています。
(編集部注/ここで、その最初の患者にまつわる話をマイニー博士の著書から引用しよう)
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プライス博士は、根管治療が或功したように見える時でも、充填が施された菌は感染したままではないだろうかという疑いを持っていた。その考えは博士の脳裡を離れ図、医師も途方に暮れるような重病患者が診察を受けに来るたびにこの考えがつきまとった。そんなある日、ひどい関節炎のために6年前から車椅子生活を余儀なくされていた女性の治療中に、ふと、ある研究のことを思い出した − それは、ある病気の患者から採取した 細菌を培養してその培養細菌を動物に接種して、 患者と同じ病気をその動物に起こさせ、病気の治療薬の有効性を試験するという研究であった。
それを念頭に置いたうえで、根管充填が施された患者の菌はなんの問題もなさそうに見えたにもかかわら図、博士はその関節炎の患者に抜歯を勧めた。「根管充填されたこの菌のどこにあなたの苦しみの原因があるのかを突き止めたい」と、彼女に伝えたのである。
悪い歯を抜けば関節炎やその他の病気がすっかりよくなる場合があることは、どんな歯科医でも知っている。しかしながら、この患者の場合はどの歯にも問題がなさそうだったし、根管充填が施された歯にも感染の症状はいっさい認められなかった。また、レントゲン写真を見るかぎりでも、この歯は正常の範囲内にあると思われた。
プライス博士は抜歯がすむとすぐに患者を帰して、その歯をウサギの皮下に埋めこんだ。2日後にウサギは患者と同じく関節炎になって四肢が動かなくなり、10日後には死んでしまった。
患者のほうは、抜歯後、すばらしい回復を見せ た! その後、杖なしで歩けるようになり、ふたたび細かい刺繍までできるようになった。この好結果によって、プライス博士は、さまざまな治療を受けても病気がよくならない他の患者たちにも、 根管充填が施された歯を抜くことを勧めるようになった。
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プライス博士はその後何年かにわたって、この実験を何百回も繰り返しました。のちには歯の小片を埋め込んで、同じ結果になるかどうか調べてみました。結果は同じでした。次に、歯を乾燥させ、すりつぶして粉末にし、微量の粉末を数羽のウサギに接種しました。結果は同じで、今回は複数のウサギに同じ症状が起きたのです。
プライス博士はやがて、細菌を培養して、それをウサギに注射するようになりました。その後さらに一歩進んで、細菌が除去できるほど細かい濾過器に、細菌入りの溶液を通しました。つまり、 濾過後の液体を注射する段階では、感染源となる細菌は存在しないわけです。実験用のウサギは病気になったでしょうか。そう、なったのです。
この現象を説明するには、細菌から出た毒素が液体中に含まれていて、その毒素にもやはり病気を引き起こす力があったのだと考えるしかありません。
プライス博士は、細菌と毒素のどちらがより強力な感染源であるかということに好奇心を持つようになりました。いま述べた実験を繰り返して、 半数のウサギに毒素入りの液体を、あとの半数には濾過された細菌を注射しました。どちらのグルー プも病気を発症しましたが、細菌を注射されたグループより、毒素を注射されたグループのほうが重い症状を示し、死亡するのも早いという結果が出ました。
MJ:それは驚きですね。ウサギはつねに患者と同じ病気になったんですか。
GM:ほとんどの場合がそうです。患者が心臓病を患っていれば、ウサギも心臓病になりました。 患者が腎臓病なら、ウサギも腎臓病になりました。 ごく稀に、ウサギが別の病気を発症することもありましたが、その場合も、病状はほぼ同じで、発症した部位に違いがあるだけでした。
MJ:ここで話を前にもどして、口腔の健康について伺いたいのですが − 抜歯の必要を阻止するために。治療の必要な根管よりも、虫歯や炎症を起こした歯くきのほうがはるかに多く見受けられるように思います。それも健康を脅かすのでしょうか。
GM:はい、間違いなくそうです。
しかし、ここで指摘しておきたいのですが、全身の健康を抜きにして口腔の健康だけを語ることはできません。 厄介なのは、虫歯が全身性疾患を反映するものであるという事実を、患者も歯科医もいまだ認識するに至っていないことです。歯科医が歯をみごとに修復できるようになったため、歯科医も、患者も、虫歯を些細な問題だと思うようになっていま す。本当は違うのです。
小さな虫歯の穴は、多くの場合、大きな穴になっていきます。大きな穴は、多くの場合、さらなる破壊につながり、最終的には根管治療が必要となります。
MJ:では、その予防法について教えてください。
GM:虫歯を防ぐ唯一の科学的方法は、食生活と栄養に気をつけることです。ラルフ・スタインマ ン博士がロマリンダ大学で画期的な研究をおこないました。ブドウ糖溶液をマウスに注射したので す − 腹部に直接 − 故に、ブドウ糖はマウスの歯に触れもしなかったわけです。博士は次に、歯に何か変化が生じないかと観察をしました。そこで発見されたのは、驚愕すべきことでした。ブドウ糖が象牙細管内の液体の流れを逆転させ、その結果、実験動物のすべてが重度の虫歯になってしまったのです!
わたしが先ほど申しあげたことを − つまり、虫歯は全身の病気を反映するものであるということを − スタインマン博士が劇的に立証したわけです。
どうしてこのようなことが起きるかを、くわしく見ていきましょう。歯が細菌に感染して虫歯の穴が神経や血管に達すると、細菌は象牙細管に入りこみます。そうなってしまうと、歯科医がいくらがんばって治療をしても、全長何マイルもの細管のなかに潜伏する細菌を完全に死滅させることはできないのです。
細菌はやがて、根管の側枝を通り抜けて、歯を支えている周囲の歯槽骨のなかへ移動できるようになります。患者はいまや、虫歯の穴と、それに加えて、歯の支えとなっている組織の潜在的感染に対処しなくてはならないばかりか、細菌によって強力な毒素を全身に送りこまれてもいるのです。 こうした毒素が体内を循環して、免疫系の活動を引き起こし、そのせいで患者はたぶん、不快感を覚えるようになるはずです。患者側のこうした反応は、動作が緩慢になり、なんだか元気がなくなってきたと感じる程度のものから、ほぼあらゆる種類の歴然たる病気まで、さまざまです。もちろん、こうした人は体内に入りこんだ細菌に対する抵抗力があまりありません。なぜなら、その身体はすでに絶えざる攻撃にさらされていて、感染源、もしくは毒素、もしくはその両方によって、免疫系が“フル稼働”を続けているからです。
(MJ:ぞっとするお話ですね。さきほどおっしゃっ た予防栄養学について、もうすこし説明していただけませんか。
GM:わかりました。プライス博士は世界中をまわって、昔ながらの暮らしを続ける未開の人々を対象に研究をおこないました(編集部注/プライ ス博士著『Nutrition and Physical Degeneration (食生活と身体の退化)』参照)。世界のあちこちで、文明から隔絶した場所を14ヵ所見つけだしたのです。そこでは、原住民が文明とまったく接触を持たず、精製された食品をいっさい口にしていませんでした。
プライス博士は彼らの食生活を丹念に調べました。その結果、食生活の内容は地域ごとに大きく異なっているが、ひとつだけ共通しているのは、 精製されていない全体食品を摂っている点である、 ということが判明したのです。歯ブラシも、デンタルフロスも、フッ素を添加した水も、練り歯磨きもないのに、研究対象となった原住民は、虫歯とほぼ100%無縁でした。
しかも − それと関連がなくはないのですが − 我々を噛ませているあらゆる退行性疾患とも、ほぼ100%無縁でした − 心臓、肺、腎臓、肝臓、関節、皮膚(アレルギー) の問題、そして、人類を苦しめている病気のすべてと無縁だったのです。
病気を予防できる魔法の食物だと証明された食べものは、ひとつもありません。広範囲にわたる全体食品を食べることによって、最高に生き生きと暮らせるのだと、わたしは信じています。
MJ:すばらしいことです。では、口腔(および 全身)の健康に役立つ食生活と栄養”というのは、つまり、全体食品という基本的な食物を摂ることを意味しているわけですね。
GM:そのとおり。そして、砂糖と精白小麦粉は摂らないこと。
この2つの食品が最大の犯人なの です。悲劇的なことに、原住民が砂糖と精白小麦粉を摂るようになってから、きわめて高かった彼らの健康水準は急速に低下してしまいました。こ れは再三再四実証されてきたことです。
この60年以上にわたって、われわれは、高度に精製加工されたシリアル、あらゆる種類の箱入りミックス食品、ソフトドリンク、精製植物油、膨大な数の食品とは呼べない“食品”を、ますます大量に摂るようになってきました。
また、その同じ年月のなかで、全国的にますます多くの根管充填が施されるようになり、退行性疾患が蔓延してきています。時期を同じくするこれらの要素は断じて偶然ではないと、わたしは信じています。そして、もちろん、プライス博士も、わたしが満足できる証明をしておられます。
MJ:先生がおっしゃることは、たしかに理解できます。でも、口腔衛生を力説しない歯医者さんと話をするというのが、わたしにはいささかショッ クなのですが。
GM:いやいや、わたしは何も口腔衛生を否定しているわけではありません。もちろん、口のなかを 清潔に保つことは虫歯予防になりますし、我々の“文明化された精製食品の破壊的な影響を最小限に抑えることができます。
しかし、本当の問題はやはり食生活にあるのです。プライス博士が見つけだして調査をおこなった原住民たちが、虫歯や、歯ぐきの炎症や、退行性疾患と無縁だったのは、彼らがよりすぐれた品質の歯ブラシを持っていたからではありません!
プライス博士が発見したことの重大さを忘れてしまうのは、きわめて簡単なことです。
ともすれ ば、それを見過ごしてしまいがちです。歯磨きをもっと丁寧に、長時間かけて、あるいは、もっと頻繁におこなえば、歯の悩みから解放されるだろ うという意見を聞くほうが、みんな、本当は好きなのです。
もちろん、わたしが本を書いた目的のひとつは、 歯科の研究に刺激を与えて、象牙細管を滅菌する方法を見つけてもらうことにあります。そのとき初めて、歯科医は歯を生涯にわたって残せるようになるのです。
しかし、最終的な結論は以前と同じです。精製されていない全体食品を摂るという原始的な食生活こそが、虫歯と退行性疾患の両方を実際に予防するための、これまでに発見された唯一の方法なのです。
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訳者紹介 山本やよい氏
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同志社人学卒。サラ・ パレッキーのヴィク・シ リーズの他、『漂う殺人 鬼』『殺人作家同盟』ラヴゼイ、『書斎の死体』 クリスティー(以上早川書房)、『ただ忘れられな くて』バログ(ヴィレッ ジビックス)、『ノー・セ カンドチャンス』『イノセント』コーベン、『死者 の季節』ヒューソン(以上ランダムハウス講談社) など訳書多数。最近では『生け賢たちの狂宴』テヴィッド・ヒューソン(ランダムハウス講談社) 2007年4月1日発行。
編集部注:マイニー博士は、残念ながら、2008年 5月2日93歳でご逝去されました。ここに謹んで 哀悼の意を表わします。このインタビュー記事は、博士 の『Root Cana1 Cover-Up』翻訳出版記念フォーラム開催にあたり、2008 恒志会会報 Vol.3にも再掲載してあります。
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